金子みすゞ
前にも触れたことがありますが、NHK教育に「日本語であそぼ」という番組があります。
基本的には、日本の文学作品の色々な名文を声に出して読んだり、ことわざや慣用句、方言などを紹介する子供番組です。「声に出して読みたい日本語」のテレビバージョンだと思ってもらえると分かりやすいです。(事実、その作者が監修している)
で、そこでとてもグッと来る詩があったので紹介します。
題名は、「私と小鳥と鈴と」
私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のやうに、
地面(じべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
引用元:「金子みすゞの世界」
http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/misuzu0,.htm
第1段、第2段の比喩も非常に面白いですが、やっぱりスゴイのは最後の一文ですね。
「みんなちがって、みんないい」
かなりの名文だと思います。
聞いていて、「ほっ」としつつ「はっ」とするような文章です。
ちなみに言い換えると「みんな、オンリーワンでナンバーワン」ですね。
一昨年くらいに、「ナンバーワンよりオンリーワン」って流行語がありましたが、僕的にはこの文章の方がよりいい文だと思います。
ナンバーワンもオンリーワンもどちらも尊重してますから。
でも面白いですよね。まったく新しい言葉のように見えて、
実は昔の言葉の焼き直しだったりする。
きっと、そういうのは他にもいっぱいあるんだと思います。
とにかく、この詩は本当にいい詩だと思います。
金子みすゞの詩はほかにも印象的なもの、というかほっとするものが多いので、ぜひ一読をお勧めします。
でわまた。