血の繋がっている妹は、妹じゃない!!
表題を見て、「?」と思った人も多いだろう。
いや、一部のするどい人は分かったかもしれないが。
ほとんどの人は、聞いてもさっぱりなんのことかわからないだろう。
−−−人間の「笑い」というのは「常識」や「社会背景」、また
その「笑い」が起こる際の「文脈」と密接に結びついている−−−
この例は、事実をよく表している言葉である。
というわけで、この「ギャグ」を解説する前に一つ例を紹介しておこう。
「カレー食ってるときにカレーの話するなよ!」
というギャグである。
これは単品で聞くと何を言っているわけが分からない。
しかし、以下のような解説がある。
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70年代 『カレー食ってるときにウンコの話するなよ!』
王道。ウンコという下品なことばが公衆の場で笑いとして認められ始めた。
お笑いが俗な文化として大衆に認識されてきた草創期。
80年代 『ウンコ食ってるときにカレーの話するなよ!』
あまねく広まったギャグをあえて誤用することにより、聴衆に「違うだろ!」と"つっこませる"。
一人一人がボケであったりツッコミであったりする、お笑い文化の一般への浸透。
90年代 『ウンコ食ってるときにウンコの話するなよ!』
シュール・不条理による笑いの波及。ツッコミどころも見つからない、
「意味が分からない」ことが笑いにつながってくる黎明期。
そして00年代 『カレー食ってるときにカレーの話するなよ!』
行き過ぎたシュール。もはや意味不明を通りすぎ、「だから何?」が受ける時代。
従前のお笑いに浸る人と、新機軸のお笑いを求める人との乖離。
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このような解説を聞くと「あぁ、なるほど!」と思えてくるから不思議である。
実際、漫才等で、この流れでネタをやってくれれば、
多分、笑いを誘うネタになるのであろう。
これも、「背景」「文脈」が笑いに必要とされるいい例だろう。
では、件の「血の繋がっている妹は、妹じゃない!!」は何が面白いかというと、
オタク世界の背景知識が必要となる。
まず、数年前から美少女系アニメ・ゲームの世界では、
「妹キャラ」というのが定着している。
これについては、Wikipediaから引用させていただく。
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妹萌え
漫画・アニメ・ゲーム等のメディアでは、「妹属性」と呼ばれる分野が確立しており、
「萌え」の対象となる。初出は明らかではないがネット上では1990年代後半には既に使用が
認められている。ただし、既にあった分野に名前を付けただけとも言え、それ以前も多数の
作品が存在する(それらを論述することは本項目の範囲を超えるため論述しない)。
一時期は主に性的タブーの排除のために、血が繋がった妹ではなく「義妹」、
「従妹」、「妹分」等のような「妹的存在」を扱った物が多く、アダルトゲームでも
近親相姦の描写は規制されていた。しかし、2004年秋にソフ倫が解禁としたため、
現在は実の妹を扱った作品も存在している。また、近年はこの客層を狙ったコスプレ喫茶も
オープンしている。
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まあ、要は主人公を「おにいちゃん」と無条件に慕ってくれる年下
(ないし、年下のように見える)の女性を「妹キャラ」と言い、
ここ10年くらいで萌え属性において不動の地位を確立したキャラクターである。
(個人的には、初ヒットは同級生2だと思うが)
その人気に相まって、2ch、ふたばを初めとするネット上では、
「俺も実の妹が欲しい」とか「茜を俺の妹にしたい」といった、
書き込みが蔓延したのである。
しかし、ここで実の妹を持つ人々がそれに反論し、
「現実にあんな妹なんかいねー」
「うちの妹でよければあげるけど」
的な書き込みも蔓延したわけである。
そのような、虚実入り乱れたオタクたちの葛藤から生まれた言葉が
件の言葉である。
つまり、
「妹とは、そもそも萌え属性を持つものである」
→「ところが、現実の自分の妹は可愛くない」
→「可愛くない妹なんて妹じゃない!!」
→「血の繋がっている妹は、妹じゃない!!」
という一分の隙もない見事な3段論法である。
このように、人間の「笑い」というのは限られた知識・場を共有した
者同士でしか通じない不安定なものなのである。
そう考えると、「笑い」というのは高等な機能だなとつくづく思う。
以前どこかで、「笑いの分かる人工知能」という研究が見たことがあるが、
きっとこれは最も高度な技術なのではないのだろうか?
、、、、、、、、、、、、、
えー、結局話のオチは
「解説されるほどギャグはどんどんつまらなくなる」
ということです。
この言葉も聞いたときは大爆笑だったんだったわけだけど・・
自分が体験した笑いを伝えるのって本当難しい、、、、、。